CRAFT SPACE わのBLOG

柚木沙弥郎展 Ⅱ  染布

2010年6月 9日 23:54

B.JPGのサムネール画像今回の展覧会に展示した染布は、この会のために新たに染めたものではありますが、新作―つまり、新しい図案で、型を彫って染めたもの―では、ありません。

萌木会がまだ活動していた頃は、毎年、夏前に服地展があり、そのために新しい型を10枚近く彫っていました。

柚木が萌木会に参加したのがいつだったのか、その後、会が解散するまでずっとそうでしたから、膨大な量の染布を制作していたことになります。実際、最盛期には、仕事場の棚には、たくさんの型紙がありました。しかし、その後、家の立替もあり、また、繰り返しの制作ですっかり傷んでしまったものもあり、かなりのものを処分してしまったようです。

今回、広巾全盛だった頃の様子を再現したくて、使える型紙を探しました。一見大丈夫そうに見えて、古いものは、紗が弱っていて、糊を置くと、裂けてしまうなど、なかなか難しかったです。ですので、比較的最近の型が多くなりました。

柚木の長年の染物の仕事を見ていると、ファブリックとして制作している布については、具象的な模様は初期のものに多くありますが、後には、圧倒的に幾何学模様になっているように思います。

今回、汽車の模様の可愛い染布が展示されています。
他とあまりに違うので、柚木に聞いてみたら、1967年の作で、モチーフになっているのは、スペインで見たブリキのおもちゃなのだそうです。この年、初めてヨーロッパ旅行をしました。旅行するといつでもそうですが、たくさんのスケッチをします。写真も撮影しますが、本当に記憶に残したいものはスケッチをしているように思えます。バルセロナのスペイン村で見かけたブリキのおもちゃたち。「厚みがなくて、平らだから、台がないと立たないんだよ。」まるで、目の前にそのおもちゃが見えてくるような話方は、スケッチをしたからこそなのでしょう。

A.JPGのサムネール画像


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