蛇
今年は蛇年ですね。
蛇というと、日本では水や田の守り神であり、また世界中のいたるところで、脱皮をすることから再生・永遠のシンボルとして崇められてきました。
さて、フィンランドでは蛇*はどんなものだったのかというと・・・。蛇が生息できる南・南東フィンランド地域に限定されますが、ペットのように飼うという風習がありました(フィンランドでは1600年の初めから、その風習に対する記録が残っています)。そこでは、蛇は暖炉のそば・サウナ・床下・納屋など、冬でも暖かい場所で大切にされ、毎日、最初に牝牛から搾った乳は蛇に与えられました。というのも、蛇はその家と、特に牝牛を守る主のような存在としてこの地域では受けとめられていたためです。
こんな昔話が残っています。
家の納屋に蛇が住んでいました。女主人は毎日その蛇に牛乳をあげていました。ある日、新しい男の使用人がやってきました。彼は納屋で蛇が守り神のように飼われていることを知りませんでした。
ある日、仕事を終えた男が、女主人にこう言いました。「納屋に大きな黒い蛇が来たから、始末したよ」と。女主人は真っ青になり、こう言いました。「おまえは今、この家で一番の牝牛を殺してしまった」と。納屋に2人で行ってみると、案の定、一番の牝牛は死んでいました。
蛇と家の牝牛がまるで運命共同体のように考えられていたことが伺える昔話です。他にも、蛇に牛乳を与えている家では、牝牛がたくさん乳を出してくれ、ひいては家が栄えると信じられていました。
*この蛇は、フィンランド語ではrantakäärme(ランタカールメ)。ヨーロッパヤマガカシの仲間。ヤマガカシといってもフィンランドの蛇に毒はありません。
■コメントする